プシュケは、ある国の王の末娘として生まれた人間の娘です。女神アフロディテが嫉妬するほど美しく、愛の神エロスの妻となって、最後には神々の一員に迎えられました。人間から神になった、数少ない人物のひとりです。
名前は「魂」
「プシュケ」は、ギリシャ語で「息」や「魂」を意味することばです。同じことばには「蝶」という意味もありました。そのため絵画や彫刻のプシュケは、背中に蝶の羽を付けていたり、そばに蝶が舞っていたりします。英語の psychology(心理学)も、このプシュケから来ています。
物語の主人公として
プシュケが登場するのは、2世紀のローマの作家アプレイウスが書いた小説『黄金のロバ(変身物語)』の中の一話です。物語の中で老婆が語る話として出てくるもので、古い神話というより、この作品で形になった物語とされています。
あまりの美しさにアフロディテの怒りを買ったプシュケは、姿の見えない夫と宮殿で暮らすことになります。夫の顔を見てはいけないという約束を破ったことで夫を失い、アフロディテに課された難題に挑み、ついには冥界にまで下っていきます。くわしい話は「エロスとプシュケ」で紹介しています。
魂の物語として
のちの時代には、この物語は「人間の魂(プシュケ)が、試練を越えて神の愛(エロス)と結ばれる話」として読まれるようになりました。人を信じきれずに過ちを犯し、それでもあきらめずに歩き続けた末に救われる、という筋が、多くの人の心をとらえたのでしょう。
とくに18世紀の終わりから19世紀には、カノーヴァの彫刻、ジェラール、ブグロー、ウォーターハウス、バーン=ジョーンズの絵画など、プシュケを題材にした名作がたくさん生まれました。
絵の中のプシュケの見分け方
- 蝶の羽、蝶:背中の蝶の羽や、頭上を舞う蝶がいちばんの手がかりです
- ランプ:眠る若者をランプで照らしてのぞき込む娘は、夫の顔を見てしまう場面のプシュケです
- 小箱:小さな箱を開けようとしている、または箱のそばで倒れて眠っている娘は、冥界から戻る場面のプシュケです
- 翼のある若者と一緒:翼のある若者に抱きかかえられて空へ運ばれる娘は、エロスとプシュケです







