ギリシャ神話 / オリュンポス十二神

ゼウス

Zeus

Ζεύς(ギリシャ語) / ローマ神話:ユピテル(ジュピター)

オリュンポスの神々の王。空と雷を治め、神々と人間の争いを裁く。恋多き神で、牡牛や白鳥、金の雨に姿を変えて恋の相手のもとへ向かった。

ユピテルとテティス
ユピテルとテティス アングル、1811年

ゼウスは、ギリシャ神話の神々の王です。オリュンポス山の頂に住み、空と天気を治め、怒ると雷を投げつけます。神々の中でいちばん強い力を持ちますが、恋に夢中になりやすく、妻のヘラをたびたび怒らせる神でもあります。ギリシャ神話の物語の多くは、どこかでゼウスにつながっています。

父に飲み込まれかけた子

ゼウスの父クロノスは、ティタンと呼ばれる古い神々の王でした。クロノスは「いつか自分の子に王の座を奪われる」という予言を恐れ、妻レアが子を産むたびに、その子を丸ごと飲み込んでしまいました。

6番目の子ゼウスが生まれるとき、レアはクロノスをだますことにします。産着で包んだ石を赤ん坊だと言って渡し、クロノスはそれを飲み込みました。本物のゼウスはクレタ島の洞窟に隠され、山羊のアマルテイアの乳で育てられます。

ティタンとの戦いと、世界の分け方

大人になったゼウスは、クロノスに薬を飲ませて兄や姉たちを吐き出させました。ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンです。きょうだいとともに父の世代のティタンと戦い、10年にわたる戦い(ティタノマキア)に勝ちました。このとき、地の底に閉じ込められていた一つ目の巨人キュクロプスを助け出し、そのお礼に雷を贈られます。雷がゼウスの武器になったのは、このときからです。

勝ったあと、ゼウスと兄のポセイドン、ハデスはくじを引いて世界を分けました。ゼウスが空、ポセイドンが海、ハデスが冥界を受け持ち、大地とオリュンポス山はみんなのものとされました。

神々の王として

ゼウスは、神々と人間の争いを裁き、誓いや客人のもてなしを守らせる神でもありました。約束を破る者や、旅人を粗末に扱う者には罰を与えます。一方で、人間に火を与えたプロメテウスを岩山に縛りつけ、人間には災いの詰まった箱を持つパンドラを送るなど、厳しく恐ろしい面も持っています。

姿を変えて会いに行く恋

ゼウスの物語でもっとも多いのが、恋の話です。正妻ヘラの目を逃れるため、ゼウスはいろいろな姿に変身して相手に近づきました。

  • 白い牡牛になって、王女エウロペを背に乗せて海を渡る
  • 金の雨になって、塔に閉じ込められたダナエのもとへ降り注ぐ
  • 白鳥になって、スパルタの王妃レダに近づく
  • 黒い雲になって、イオを包み込む
  • 鷲になって、美少年ガニュメデスを天へさらう

こうした恋から、英雄ヘラクレスやペルセウス、トロイア戦争のもとになった美女ヘレネなど、たくさんの子が生まれました。ヘラの嫉妬は、多くの場合、ゼウスではなく相手の女性や子に向けられます。

絵の中のゼウスの見分け方

絵画では、ローマ神話の名前「ユピテル(ジュピター)」と呼ばれることもよくあります。次のような手がかりがあれば、ゼウスと考えてよいでしょう。

  • 鷲:いちばんわかりやすい印です。足もとや横に大きな鷲が描かれます
  • 雷:手に握る、ぎざぎざの束のような形の雷(雷霆)
  • 王笏と玉座:王としての姿。雲の上の玉座に座ることも多いです
  • 豊かなひげの壮年の男性:がっしりした体つきで、威厳のある顔に描かれます

恋の物語の絵では、ゼウスは牡牛や白鳥、金の雨の姿になっていて、本人が描かれていないこともあります。その場合は、隅のほうに鷲が描かれていることがあるので、探してみてください。

ヘラ アポロン アフロディテ ヘルメス